「視察の旅を終えて」
ケニア 森 貞子さん
−森 英恵 隊員(H22-1次隊/エイズ対策)のお母様
羽田で涙の別れをしてから一年半、娘の待つケニアへ出発することとなりました。東日本大震災で、大きな被害を受けた方々と同じ地区に住んでいて、まだ復興もしていないのに・・・と思いながらでしたが、もう二度とない機会と思い参加しました。震災時は停電になったため、地元に居ても津波の情報や海岸地区の様子を、ラジオでしか知ることができませんでしたが、遠く離れたケニアでは、‘センダイシミヤギノク’と、実家の地区に大津波が襲来する映像が一日中流れ、「ハナエの家は大丈夫なの?」と、みんなが心配してくれたそうです。
さて、関空からドバイ、そしてナイロビへ、乗り継ぎ時間を合わせれば、片道二十四、五時間の長旅です。ナイロビの空港には娘たち隊員が出迎えてくれました。久しぶりの再会を喜んだ後、空港からホテルへ向かう車窓からは、どこか懐かしい半世紀前の日本に似た景色が広がっていました。翌日にはいよいよ娘の赴任地ビタに出発です。途中の町キスムで一泊して、タクシー、フェリーを乗り継いで、着いたのは翌日夕方でした。任地の方々にあいさつして廻り、娘が皆さんにやさしく受け入れていただいていることがわかり、安心し、またうれしくなりました。
最近、ケニアを取材した番組がよく放送されますが、現実のケニアは想像よりも近代化しているものの、富を得ている人と、貧しい人との格差がとても大きい国だと思いました。また交通事情、衣食住のすべてを含め、日本の支援できる事、まだまだあると思いましたし、日本の国のすばらしさを実感する、良い機会でもありました。
私の人生にケニア行きがあった事は、娘からの最高のプレゼントだったと思います。娘の帰国まで半年足らず、ケニアの男性のハンサムでやさしい誘惑に負けることなく、元気に帰国することを願います。