「娘の任地へ ―ルワンダへの旅―」
ルワンダ 坂寄 幸子さん
−坂寄 綾 隊員(H22-3次隊/理数科教師)のお母様
今年の1月5日に娘は,ルワンダに向けて飛び立った。仲間と楽しく歓談している姿を見て,少しほっとする思いであった。月日が経つにつれ娘の任地の様子が心配になってきた。そんな時に,視察のたびのお誘いがあり,すぐに参加の手続きをした。あまり人数が集まらないようなのでやきもきしたが,最終的に6名参加で実施が決定した。予防接種や頼まれた手荷物などの準備に追われた日々が過ぎた。
出発の10月10日になった。事前研修会ではセネガルとウガンダに訪問する人たちと一緒だった。同じ飛行機なので心強かった。ドバイでそれぞれに別れた。私たちはケニアのナイロビ空港で乗り換えてルワンダの首都のキガリ空港に向かった。待ち時間があったので10日の夜の10時に出発して12日の夕方の5時過ぎにキガリに着いた。娘も含めたそれぞれの隊員が私たちを迎えてくれた。安堵の表情になった瞬間だった。
その日から,娘との行動になった。
J I CA事務所を訪問し,ルワンダ国の概要や隊員の様子を聴き,日本大使館への表敬訪問をした。セキュリティが厳しいことにびっくりした。大使のにこやかな顔に,隊員の活躍に満足している様子が感じられた。
昼食は,隊員とその家族でイタリアンの食事となった。ルワンダに着いた開放感の中での食事であった。
その後に娘との旅が始まった。はじめはアカゲラ国立公園でサファリを行った。キリンやシマウマやワニなどいろいろな動物を身近で見ることができた。双眼鏡を使いゾウの大群も見られ大満足であった。ホテルも国立公園の中にあり,自然の中の雄大な景色に圧倒された。朝日が昇るところも,多くの外国人と一緒に食事をしながら見ることができた。
次はニャマタの虐殺記念館に行った。今も血のあとが残っており,生々しい中に当時をしのばれる現状であった。ドクロも多くありその数の多さに言葉を失う私たちであった。案内してくれた村落開発普及員の方も言葉もとぎれがちであった。日本人が来るたびに案内しているとのことであった。彼女は現地にとけこんでいて,地元の人と石鹸をつくり販売している。
次は,ルワンダのリゾート地のギセニに行った。ボーダーといってコンゴとの国境にも行った。警察の人も軍の人もライフル持参の姿に治安の悪さを感じた。でも,湖のほとりのホテルは別天地の設備であった。おいしい食事と鳥や蝶の中に一時の憩いを感じる時間であった。朝、早く起きて散歩をした。子どもが井戸で水くみをしていたので私も水くみを手伝ってポリタンクに水をくむ手伝いをした。久しぶりの井戸での水くみであった。ルワンダのよく働く子の毎日の日課でもある。
ギセニからまたキガリに戻った。その夜は娘の同期の人たちとのエチオピア料理で会食をした。それぞれが各地で自分の仕事をしている姿がたくましく思えた。
ルワンダには鉄道がないので,交通手段はバスである。首都のバスターミナルがあり,そこから各都市の長距離のバスが出ている。各都市からはライトバンを改造したバスもあった。一人ではないので楽しいバス旅行であった。ブタレが娘の任地なのでそのライトバンに乗り向かった。ブタレは王宮もある古い都市であった。国立博物館もあり,ルワンダの歴史を垣間見たように思った。その後,とてもおいしいソフトクリームを食べた。甘さと滑らかさがありとてもおいしく思った。任地に着き,娘の勤務先の学校の先生に挨拶をした。校長先生がシスターであることに親しみを感じた。おいしいワインとクッキーで歓待を受けた。その後同僚の男性の先生宅も訪問した。たくさんの言葉で話しかけられたが,片言の英語での応答であったが楽しかった。娘の家の戻り就寝した。ベッドは2つあり,共に蚊帳と蚊取り線香で蚊を防いでの就寝であった。月もきれいだったし,天の川もきれいに見られた。アフリカの夜空は星の瞬きがきれいだった。
次の朝は早起きし,娘と散歩した。朝日が昇るところも見られたし,早起きの現地の人と挨拶を交わした。学校が4校も集まっているところであった。教会もあって生徒たちが寮生活送っている。「千の丘の国」らしく平坦ではないが多くの人々が自分の足で動く範囲で生きている姿が見られた。週に1〜2回の市場での買い物で日々の生活を送っている。飲料水の入手は子供たちの仕事であった。朝早くポリタンクを持ち近くの井戸に汲みに出かけ坂道を登っていく。たくましい限りである。子供たちも学校は,午前中に勉強する子と午後から学校に行く子といるらしい。
散歩が終わり,学校訪問をした。テスト中ということで先生方は忙しそうだったが,喜んで迎えてくれた。職員室でカフェオレをご馳走になり教頭先生と話して娘の仕事ぶりを聞いた。頑張っているとのことであった。早々と引きあげてしまった。生徒たちの様子や整然としている学校の様子もカメラに収めればよかったと後悔した私であった。
視察の旅も終盤になり,視察の旅の参加者全員がキガリに戻りホテルミルコリンでの夕食会となった。最上階のレストランでの食事はまた楽しいものであった。眼下に見られる夜景はすばらしいものであった。皿のような月も見た。アフリカの位置を改めて感じた。
最後の日はコーヒーの試飲会を体験した。スターバックスの系列のコーヒーなので美味しいものであった。焙煎の様子も見られテイスティングもできた。初めての経験だった。コーヒーに対する厳しい選別が新鮮だった。選んだコーヒーを購入できた。その後,土産を買い夜は懇親会であった。ルワンダ隊員との交流であった。
最後まで楽しめた旅行になった。また,帰りも2日間かかるが,満足する旅であった。夕方の5時過ぎに日本に着き,家に着いたのは10時過ぎだった。そのあと,2回洗濯をして12時過ぎに就寝した。次の朝の4時に起きてまた洗濯をした後,仕事に行った。
疲れてはいたが,心身共に充実していることに満足の笑みが浮かぶ私であった。
このような企画をしてくださった関係の方々に感謝の気持ちで一杯である。本当にありがとうとお世話になった方々に言いたいと思う私であった。