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ザンビア「視察の旅」で得たもの

ザンビア 大高 一彦さん、典子さん
−大高 一晃 隊員(H26-2次隊/青少年活動)のご両親

 息子がザンビア、マザブカの農村部の小学校の教師として赴任し、約10ヶ月となります。しかしこの間本人との連絡はSkypeでの数回しかありません。今まで一人暮らしもしたことが無かった息子が、元気で暮らしているのか心配で、また、郵送した荷物も数か月経っても着かない状態であったので、余計にその気持ちを掻き立てました。そんな時、「視察の旅」の案内があり、家内と相談し、どんな環境でどんな暮らしをしているのか是非知りたいとの気持ちから、会社に10日余の休暇を申請し、ザンビアへ行くことを決めました。

 「視察の旅」の催行が具体化してきた時点で、自分の視察の旅の目的を二つ立てました。
一つ目は、息子がどんな暮らしをしているのか、ボランティア任務をしっかりしているかを確認することです。
 息子の赴任先は、マザブカの町から15キロほど離れたNachipooma(ナチポマ)小学校で、校長先生宅の一室を借りて暮らしています。行って見て、今まで連絡がなかなか取れない事情も判りました。電気は、今回の赴任で付けてもらった太陽光発電しか無く、発電量は少なく、当然インターネットもありません。水も井戸水汲んでカルキの薬を入れ、煮沸して飲む、火は炭で煮炊きをする、毎日がアウトドア生活です。小さい頃からボーイスカウトをしていたので、アウトドア経験があるとはいえ、毎日では大変だと思いましたが、本人は慣れてしまっている様子です。昼に自分が飼っているニワトリ(ホロホロ鳥のはずが、すばしこく捕まえるのが大変なためニワトリとなりました)を絞めて、蒸した後、フライし、トマトのソースをかけてご馳走してもらいましたが、それは格別に美味しかったです。
 残念ながら、訪問した時期が小学校は休み期間でしたので、授業の様子は見ることが出来ませんでした。しかし、奥様を二人お持ちの村長(甲斐性があれば一夫多妻オーケーとのこと)にお会いし話を聞き、また、村の畑道を歩いていると、村人皆が息子に「オータカ」と声を掛けてくれるのを見て、村の人々から信頼されていることを感じました。

村長さんご一家と カンフーレッスンの様子

 さらに、息子はクリスチャンなので、日曜日に近隣の教会へ行き、ユースのアドバイザーもすることになったそうで、地元に完全に溶け込んで、生活していることが判り、心配していた気持ちが安らぎました。ただ、赴任後にやって来た雨季の時期は、大変つらかったようで、下痢と熱で寝込むという事が三回あったそうです。まだ一年の任期があるので、健康は十分に留意してもらいたいと願うばかりです。

 二つ目は、私自身がザンビアの人達と直接、触れ合い、彼らの心に残ることをすることです。
 この目的を実現する手段は、自分が趣味で行っているカンフー(中国武術)をザンビアの子供達に教えることだと考えました。私は中国、日本国内の大会に何度も出場しており、また、日曜日に、少林拳、太極拳を指導も行っています。従って、教えることに関しては、問題はないのですが、相手が日本人ではない、言葉も違う、習慣も違う、カンフーを知らないかもしれないアフリカの子供達をうまく教えられるのか若干不安になりました。連絡が取り難い息子にSkype で連絡し、ザンビアの子供達はブルースリー、ジェットリー、ジャッキーチェンのカンフー映画のお蔭で、カンフーは、かなり知られていることが判りましたが、日本と中国の区別がはっきりついていないことも判りました。多分、このことは日本人の私が今回、カンフーを指導したことで余計に混同してしまったかもしれません。
 指導する内容を計画し、小学校低学年でも可能なカンフー体操と棍(棒)を使う棍術:少林陰手棍(しょうりんいんしゅこん)とし、使う棍として、背の高さの枝を落とした地元の木を準備するように息子に頼みました。
 こうした準備を経て、今回のザンビアの子供達へのカンフーレッスンを実現させました。
 最初は集合時間にまばらであった子供達ですが、15分程度でかなり集まり、小学生のお兄さん、お姉さんの参加もありました。英語で指導し、実際に動きを見せて、真似をして動く指導方法で行い、子供達は最初、恥ずかしいのか消極的でしたが、レッスンが進むに連れて声を出す動作もあり、緊張感もほぐれ、楽しそうに積極的になって盛り上がりました。ザンビアの子供達は身体能力が皆高いと思っていたのですが、個人差があることも判りました。武術動作としての使い方や型の修正は実際、手取り足取り行い、皆、カンフーに興味津々です。棍(棒)は武器として使うので、回転させたり、振り廻したりして楽しそうに行いました。 レッスンを通して子供達にカンフーの楽しさが心に残ったと思います。私は子供達の、笑顔でカンフーを行う姿を見て感動し、成功だったと確信しました。

 こうして、「視察の旅」の二つの目標は果たすことができました。息子が一人暮らしをして、大きく成長していることを見て、さらに、自分自身が子供達の指導に貢献もできたことは有意義でした。あと1年、息子には健康に留意しながら、更にザンビアの人達と交流し、教育で一層の貢献をしてもらいたいと思います。


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