ムトワラ ムサンガムクー
聞いたこともない地名でした。地図を見るとアフリカ タンザニアの南、国境付近の村。国の中心ダルエスサラームからも遠く離れた土地。ムトワラの飛行場へプロペラ機で降りると滑走路に水たまりがあり、雨のあとなのか、茶色い大地にしっとりやさしい風が吹いていました。思ったより大きな町。大通りにはにぎやかに人々が行き交っています。
その町からフェリーで15分、三輪車(バジャジ)で10分。そこがムサンガムクー村。村の入り口に食堂、といっても10人も入ればギューギュー。あざやかな布(カンガ)をまとった女性がパンケーキみたいなものを油をいっぱい使って焼いている。そこには、使われてはいないような、息子が作ったという小さなかまど。そこから少し入ったところの家に声をかけて入っていく。奥の台所でおじいさんがかまどで湯をわかして、なまこをゆでている。「煙を出す煙突がうまくいった」と言っている。ムゼー(おじいさん)は息子の作ったかまどを使ってくれていた。かまどの煙にさす光は、私が子供の頃、祖母の家の台所の煙った光を思い出させた。「この日本人。何をやるんだかー。」とやさしい目で見守ってくれていると感じた。
海へ出る。いままでに見たことのない遠浅のおだやかな海だった。
JICAの職員の方々。ムトワラの役所の方々。現地の隊員の方々。フェリーの乗組員。そしてムサンガムクー村の人々。遠いアフリカの自然の中で息子は見守られていると、胸が熱くなった。
たくさんの経験を息子にも私にもアサンテ サーナ(ありがとう)!
ムサンガムクー、この地名は鼻の奥がツンとする程、風景、村の人々の姿と供に一生忘れない、いとおしい特別な場所になりました。
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