「国際協力隊員の親として現地視察に参加して思った事」
エクアドル 藤田 収志さん
−藤田 裕子 隊員(H22-1次隊/看護師)のお父様
「私、青年海外協力隊に応募したから・・」娘の決意を聞かされて2年経った今年9月に任国視察の案内が手元に届きました。海外協力に携わる娘の姿を現地で見てみたい思いとエクアドルってどんな国なんだろうと思う気持で家内共々『育てる会』の任地視察のたびに参加させていただきました。
須崎OG隊員の同伴により同国訪問の4家族で成田から空路を乗り継ぎ、深夜の首都キト空港に到着。翌日は日本大使館で今井大使よりエクアドルの現況と日本との関わり、支援状況説明いただき、JICA高井事務所長からは隊員派遣状況と治安上の注意を受け旅はスタートしました。
国内に発達した路線網を持つ長距離バスを移動の足として任地に到着。娘の任地であるチュンチ市はエクアドルの中央部を南北に貫くアンデス山系に位置し、アンデスの腰掛と呼ばれる山の中の小さな町(標高2200m)です。バスを降りると直ぐに、市の運営する診療所で看護師として働く娘に対し「Hiroko、Hiroko・・」と地元民から声をかけられる姿に現地に溶け込もうとしている娘の日常を垣間見ることが出来ました。また対応する娘の流暢な会話に言葉の壁は乗り越えたのかなと家内と一安心しました。
ここチュンチではこの国の貧富格差による問題が出稼ぎ家族に取り残された子供の孤独自殺、衛生環境の地域間格差による感染症や食習慣の偏りによる生活習慣病、性教育(モラル)の未発達による原住民系若年者の妊娠/出産といった形で現れていることや山間部の原住民系村落へのドクターマイラ(診療所医師)との巡回診療の際に発覚する問題点や村落での歓待の様子を娘から聞くことができました。この地の現状を話す娘の話を聞き「衛生面での意識向上への取り組み活動」や「この国に溶け込もうと努力する姿」、「自己を主張する姿」に我が子ながら逞しさと1年半での成長をはっきりと感じとる事ができました。
娘と一緒に巡った任地外でのエクアドル国内の思い出としてはスペイン統治時代の面影が整然と保存された世界遺産でもあるクエンカの町並みの美しさや国内最高峰のチンボラッソ山の中腹4800mからの景観には感嘆しました。またホームステイ先の家族や任国で娘を支えてくれている多くの友達や同僚隊員、配属先チュンチ市の皆さんとも語らう時間を持つことも出来、かけがえのない思い出を作ることができました。
今回の任地視察の旅では協力隊員として日本から派遣されている隊員たちがそれぞれの任地でそれぞれの思いを胸に草の根の活動として頑張っている姿に敬意と希望と家族として誇りを感じた旅となりました。
最後にこの旅の企画・運営に携わっていただいた関係者の方々、同道の同僚隊員のご家族のみなさん、現地でお世話になりました皆様にお礼を申し上げます。
「感動の旅をありがとうございました。」