思いがけずJICAの隊員として息子がヨルダンへ行くことになりました。ヨルダンは中東紛争地帯の中心に位置する国であり、治安はもちろん宗教、食生活も異なり、全くどのような国か想像がつきませんでした。息子から時折送ってくる写真、メールには心配ないと書いてありますが、その言葉をそのまま受け取ることはできませんでした。
しかし、今回の視察旅行に参加して本当に良かったと思います。まさしく“百聞は一見に如かず”です。
アンマン到着当日に大使館の方、JICAの所長さんがヨルダンの治安、国の事情、中東における立場など丁寧にお話くださり、まずはひと安心しました。
翌日から視察旅行の開始です。マダバ、ベサニーではヨルダン河を挟んでイスラエルをのぞむ場所へ、そしてヨルダン観光3台スポット、死海、ペトラ遺跡、ワディ・ラムを訪れました。次に唯一外海に面したアカバを尋ね、高速バスでアンマンの待ちへ戻りましたが、どこへ行っても危険を感じることはなく、「ヤバーニ?(アラビア語で「日本人の意味」)」とよく声をかけられ、知っている日本語で話しかけられました。
アンマンの車の多さ、スピード、交通ルールを無視した走りには驚かされ、信号のない道を渡るときには旅行中唯一の危険を感じました。
息子が勤務している職場は彼より年長の方、女性の方が多く、温かく、好意的な環境の中で仕事をしていて、うまく順応できている事に一番安心しました。
生活する上で大変なのは水事情ではないでしょうか。旅行中はすべて5つ星のホテルなので“水がない”という実感が全くありませんでしたが、息子の宿舎で日本と同じ感覚で器を洗っていると、“やらなくていいよ”が“洗わないで!”“水をそんなに使わないで!”にかわり、やっと貴重な水を考えもなしに使っている事に気づきました。旅行中ホテルのバスタブに浸かれた時には“何か月振りだろう、気持ちいーい”を連発していました。日本では毎日たっぷりの湯船に浸かり、温泉ではあふれ出るお湯に入っていますが、“勢いのないシャワーだけ”だと聞いて、慣れるまで大変だったろうと思いました。
次に食料品ですが、野菜、果物は豊富で、ダウンタウンでは山のように積まれた日本より大きなキャベツ、ブロッコリー、ジャガイモ、なすなど沢山の種類があり、くだものも沢山綺麗に積まれていました。衣料品も上野のアメ横を思わせるようなお店が並んでいてともて賑わっていました。シティーモールではここもヨルダンなのかと思うほどゆったりしたスペースに多くの高級ブランド店があり驚きました。
息子がいつも行くという大きなスーパーも品揃えは豊富でなんでもありますが、価格は日本と変わりなく、物価もどんどん上がっているとかで予算内で生活するのに苦労しているようです。料理など全くやらなかった息子が工夫して自炊生活をしている事に胸が熱くなる思いでした。
いつでも、何でも手に入る日本での生活から衣食住の違う国に飛び込み、慣れるのは大変だったと思いますが、ヨルダンでの貴重な体験が今後の人生にとって、きっとかけがえのないものになると信じています。
|