尚人へ
例年より寒さを感じるこの12月、クリスマスの訪れを待つ人々が街を忙しく行き交い店には恒例のクリスマスソングが流れ、いつもながらの日本の光景です。クリスマスまで任地で村人と過ごし、翌日首都に向け出発し帰国の準備に入るそうですね。任地最後の時間、あなたの胸の内はいかばかりかと複雑な思いにかられます。
ウガンダ再訪は言葉にならない感動の連続でした。現地の方々と再会を喜びあい、子供達の成長に目を細め、農家さんの現状に耳を傾け、私も家族の一員に加えて頂いたようでした。ぎゅうぎゅう詰めのマタツバスに乗り揺られ、懐かしい景色に胸おどり、村人と共にネリカ米の種蒔き、昼食にはとうもろこしの粉を湯で溶き混ぜたポショとウガンダ紅茶。正に天の恵み、大地の香りでした。初めて見るシャボン玉を大喜びで追いかけ大声で笑いあう子供達。村人の目は大人も子供も生き生きとした喜びで輝いていました。任地でのびっしりのスケジュール、実り多き時間でしたよ。私には分からない気遣いも多かったことでしょうね。感謝です。
家に2年の間変わらず壁に貼られている一枚の葉書があります。1月8日付成田空港から出発前に我が家宛に出された一枚です。
「私はひとりの人間として出来ることをしてきます、誰かのために」と書き送ってくれましたね。
(隣人にとっての良きものを求め、他者の幸福を願うことが幸せだと思える者の集団)
これこそが協力隊員であるJICAの精神でありましょう!
企業人として上海で働くお兄ちゃんは、安定した仕事を捨て協力隊員となりアフリカに出ていくあなたの考えがさっぱり解らないと首をかしげていましたね。でも10月の中国連休でウガンダを訪れ「行ってきて解った!行って良かった!」とのメールが送られてきましたよ。2人きりの兄弟、年を経てもアフリカを語りあえますね。母として大きな喜びです。
いよいよあなたが村人と別れウガンダを発ってしまう事を寂しく思う私ですが、任期の中で『畑に隠された宝』が何であったのかを見出し、帰国の途につくと確信します。
そしてあなたの今後の人生に大きな恵みをもたらしてくれるものでしょう!
教会の中ではろうそくが次次灯され、馬小屋の幼な子イエス、マリア、ヨセフ、そして動物達の聖らかで暖かい雰囲気は、貧しいのに豊かさに溢れています。人は実際その目で見たものに真実はあるといわれます。サンタクロースはいなくとも、贅沢なごちそうはなくとも、目を見張るプレゼントがなくとも、(本物のクリスマス)を村人と共に任地で過ごすことでしょう。
別れは切ないもの。でもウガンダで耳にした言葉があります。
「山と山、海と海は出逢えないけれど人と人は又出逢える」
素敵な言葉ですね。私も励まされます。
こうしてペンを取っている今、突然驚くことにウガンダから国際電話!あなたの元気な声と村の人々の声。「ママ!ママ!メリークリスマス!メリークリスマス!アリガト。アリガト。」と大きな大きな村人の声、懐かしい声です。祝福を受けるとはこういうことでしょうか。思いもかけない現地からのクリスマスプレゼントに涙がこぼれました。
いつか必ず又会いに行こう!そう強く思いましたよ。
溢れる緑、どこまでも続く大地、鮮やかな朝焼け、満点の星空。心の澱のような物が流されたウガンダの地でした。静かに美しい思い出に浸っています。
お世話になったJICAの皆々様、引率して下さった娘のような青島様、昨年からのお付き合いの隊員のお母様方、今日まで息子に関わり善き種を蒔いて下さった方々、身内になったウガンダ村人、そして母としての成長に大きな後押しをしてくれたあなたに今宵私は深い感謝と喜びを持って祈りを捧げます。
本当にありがとう!メリークリスマス!
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