11月8日夜、成田空港を出発した飛行機は、イスタンブールを経て、11月9日の夜9時(現地時間)にコトヌー空港に到着しました。到着したコトヌー国際空港には、トイレが2つ。1つは、電気が点かない。もう1つは、トイレの便座がない。当然、トイレットペーパーもない。これが、ベナンの玄関口であるコトヌー空港かと、行き先の不安を仰ぐ光景でした。
ベナンには、首都の一部を除いて信号がない。日本なら、この車はもう「スクラップでしょ」と思うような車がタクシーとして存在する。窓の開閉はできない、ドアは外れそう。本来5人乗りの車に、お尻の大きな黒人も含めて9人くらい乗る。せいぜい2人乗りのオートバイに、4人5人と乗る。その車がものすごいスピードで走る。100キロ以上!その車の走る道路を人間が横断する。「ここ渡るよ」「え!ここ??」何度ドキドキしながら、道路を横断したものか。
長女の住むグラズエは,首都からバスで6時間くらいのところにある。朝6時発のバスを待つが、バスは来ない。「何時に来るかわからんから」と長女の声を半信半疑で聞きながら、待つこと30分。思ったより早くにバスが到着。しかし、出発したのは7時。日本のような定時は存在しない。バスの途中休憩でトイレに行く。金を払ってトイレに入る。渡された水の入ったやかん。穴が開いただけのトイレ。使い方がわからずトイレから出る。
 |
 |
長女(坂本真子)、アッピッピの小学校で
子どもたちと農作業する様子。 |
アッピッピの子ども
(長女お気に入りの2枚) |
長女の仕事は保健衛生の推進。トイレはトイレでしましょう。手を洗いましょう。それなのに、小学校のトイレには、鍵がかかっている。断水続きで、長女の家に泊まった4日のうち水が出たのは、たったの5分間。加えて停電はしょっちゅうある。長女が日本を発つ前にこのひどい環境の事を知っていたら、はたして私は、協力隊への参加を賛成できただろうかと自問しました。
しかし、会う人会う人が「ボンジュール」と右手を差し伸べてくる。「ベナンに住みなよ」って言ってくれる。私が生きてきた人生の中でこれだけ握手をしたことがあるだろうか、私が出会った外国人に「日本に住みなよ」って言ってあげられるほど、日本を誇らしく思っているだろうか。今の日本にない何かが、ベナンにはあふれているようでした。
 |
アッピッピの小学校に連れて行ってくれました。
私(坂本幸子・右)と同行した次女(坂本恵子・左) |
「交通事故と健康にだけは、絶対注意して」長女に言い残して、空港を飛び立ちました。一生行くことなんて無いだろうと思っていたアフリカに行くチャンスをくれたわが娘、ありがとう。行って良かったよ。
|